転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

 男性はしゃがみ込むスーリアの前で腰を折ってスーリアの手もとを覗きこんだ。金糸の刺繍が施された上着は上質で、身のこなしも洗練されている。腰には細身の剣をさげていた。

「コスモスです」
「コスモス?」
「細くて背の高い枝にこれくらいの八枚の花弁の可愛らしい花が咲きます。色は色々ですね。これは何色かしら」

 スーリアは花の大きさを手でつくって見せる。そして、穴にポトンと落とした種の上にそっと土を被せると立ち上がった。

「はじめまして、騎士様。薬草園に興味があるならご案内しましょうか?」

 スーリアの挨拶を聞いた目の前の男性は驚いたように目をみはったが、すぐにくすくすと笑い出した。

「あの、なにかありましたか?」
「いや、何でも無い。俺はエリクだ。お言葉に甘えて、薬草園を案内して貰っても?」
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