転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
エリクと名乗った男性は柔らかく目を細めるとスーリアを見下ろした。
切れ長の瞳と真っ直ぐに通った鼻は男性的で、凛々しい印象を受ける。美しい顔立ちのアルフォークとも、垂れ目で柔らかい雰囲気のルーエンとも違った印象を受けた。
「いいですよ。こっちが私の管理している花畑で、あっちは魔術研究所の薬草を育てている薬草園なんです。あ、言い遅れましたが、私は最近ここで働き始めましたスーリアです」
「じゃあ、スーリアの花畑と薬草園の両方見せて貰おうかな」
「わかりました」
スーリアは早速植えられている植物の紹介を始めた。ふとその時、宮殿の渡り廊下に巡回中の騎士の姿を見つけた。
「エリクさんは今、休憩中ですか?」
「え? なぜ」
「勤務中なら、あまりお時間を取らせてはいけないと思いまして。上司の方に怒られませんか?」
エリクはスーリアの顔を見ながらもう一度目をみはり、とても楽しそうに笑った。
「俺は聖魔術師なんだ。空間の歪みが無ければのんびりしてる」