転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「俺たちは大体、1日おきに空間の歪みを正しに行っている。今日も午前中に行った場所に魔獣がいてね。魔法騎士が仕留めたからよかったが」
エリクはその事を思い出したのか眉根を寄せた。
「魔獣!? 魔法騎士の方達は無事ですか? 魔法騎士団に姉の婚約者がいるんです」
それに、アルフォークがいる。スーリアは『魔獣』と聞いてとても心配になった。リアちゃんの最後の記憶──スネークキメラに襲われる光景は今のスーリアにも残っている。アルフォークやスティフがあれに襲われたら……。
あの時の恐怖を思い出したことも相まって、スーリアはぶるりと身震いした。
「全員、怪我も無く無事だ」
「本当ですか?」
「ああ、ピンピンしてる。彼らは鍛錬を積んだ精鋭の騎士団だからね」
エリクにそう言われて、スーリアはほっと胸を撫で下ろした。
「お姉さんの婚約者を心配するなんて、君は家族想いだね」
「いえ、そんなことは……」
本当は一番最初にアルフォークの顔が思い浮かんだ。スーリアはこちらを見下ろすエリクと目が合うと、なんとなく後ろめたく感じて曖昧に笑ってみせたのだった。