転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
ちょうどこっちも用があったので、アルフォークはルーエンの誘いに頷いた。
「今日はなぜ遮像壁に防音壁を?」
いつものテラスに腰を下ろしたとき、アルフォークは周囲を見渡して訝しんだ。ルーエンによって、テラスを包み込むように遮像壁と防音壁が張られている。
「謎の作家に内通者が居るからだよ」
「内通者?」
持ってきた自作のケークサレを並べていたアルフォークは眉をひそめた。ルーエンはケークサレをチラッと見ると、肩を竦めてみせた。
「アル、これはなに?」
「見ての通り、ケークサレだ。スーリアの育てた野菜が混ぜてある。最終目標はパンだが、あれは発酵などがあって難しいらしいな? 屋敷の料理人にケークサレなら比較的簡単だと聞いた」
「突然の料理熱は冷めないんだね?」
「当然だ」
ルーエンは笑いが堪えきれない様子で肩を揺らしている。