転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
 キャロルはまだ十八歳で数カ月前に魔法騎士団に入ったばかり。雑魚の魔獣と戦ったことはあっても、中級クラスと実戦を交えるのは初めてになる。
 しかし、キャロルが力で劣る面を挽回しようと人一倍訓練に励んでいることアルフォークは知っていた。

 キャロルは緊張の面持ちで頷く。

「はい。行けます」
「よし。キャロルの組には俺が入る。行くぞ!」

 アルフォークは自分を含めて六人を選ぶと攻撃開始の合図をした。

 魔法騎士は剣と弓と魔法で戦う。相手が炎なら打ち消す魔法――水や氷系が有効だ。アルフォークともう一人がその方向で落ち着いて攻めるのに対し、キャロルの動きはやはり硬かった。団長と先輩魔法騎士に圧倒されて手出しが出来ないのだ。
 そうこうするうちにファイヤーグリムも一番の弱点がキャロルだと悟り、キャロルに狙いをつけはじめた。

「キャロル! 一旦下がれ」

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