転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

「猫……。獣医には診せたのか?」
「診せました。胃薬を出してくれたのですが、良くならなくて」
「普通の獣医か? 治癒魔法を使う獣医は?」

 アルフォークに問いかけられて、スーリアは軽く首を振った。
 治癒魔法を使える人自体がとても少ないし、その中でも獣医は殆ど居ない。僅かにいる治癒魔法を使える獣医はほぼ全員が国や貴族のお抱えになっている。騎馬隊の馬や、高貴な人の愛玩動物を治療するためだ。

「そうか……。俺の実家で付き合いのある治癒魔法を使える獣医がいるはずだ。今から行こう」
「でも──」

 ──でも、治療代が払えません。

 そう言おうとしたが、その前にアルフォークに口に人差し指を当てられて微笑まれた。

「スーにとって、大事な猫なのだろう? 俺もレックスが元気が無かったら気が気でない。俺が何とかしてやるから何も気にしなくていい」
「レックス?」
「あの馬だ。俺の半身のような存在だ」
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