転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

 アルフォークは花を眺めたまま頷いた。『白薔薇姫』と『白百合姫』とうたわれる二人の姉を想像し、どのような花言葉なのかと興味を持ったのだが、思った以上に普通だった。

「デンドロビウムは?」
「デンドロビウム? 『わがままな美人』です」
「『わがままな美人』か……」

 デンドロビウムとは、プリリア王女がお気に入りの花だ。
 以前、スーリアの花束を取られた時に『私はデンドロビウムが好きなのよ。きちんとおぼえておいて』と言われて知った。何ともあの王女にお似合いの花言葉だとアルフォークは思わず笑みを漏らした。
 
 スーリアはずっとアルフォークの横顔を見つめていた。見惚れていたと言った方が正しいかもしれない。だから、デンドロビウムの花言葉を聞いた時にアルフォークが楽しそうに笑みを漏らしたのもしっかりと見ていた。

──デンドロビウムが好きなのかしら? 今度、育ててみようかしら?

 デンドロビウムの淡い紫色はアルフォークの優しい瞳の色に似ている。
 スーリアはアルフォークの横顔を見つめながら、今日は帰りにデンドロビウムの株を買いに行こうと思った。
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