転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

 アルフォークに尋ねられ、スーリアはこれまでシュウユに会った日のことを思い返した。シュウユはなんと言っていただろうか。記憶の糸をなんとか手繰り寄せた。たしか、自分に望むことは一つだけ──幸せになることだと言っていた。けれど、それは話す必要もないように思えた。

「特には何も」
「そうか……」

 アルフォークは何かを考え込むようにじっと宙を見つめていた。


 ***


 その話をしたとき、ルーエンは驚きのあまりに紅茶のカップを取りこぼし、エクリードは眉間に深い皺を寄せた。

「アル、それって凄いことだ! まやかしじゃ無く、リアちゃんがシュウユに聖なる力を与えられたってことなのだから」

 ルーエンは興奮気味に身を乗り出して言った。一方、エクリードは眉を寄せたまま難しい顔をしていた。

「つまり、そのスーリアは聖女と言うことだな?」
「聖女?」

 聞きなれない単語にアルフォークは訝し気に聞き返した。
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