転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「俺から父上には話すが……たしかにあの子は王宮に閉じ込めておいて幸せを感じるタイプではないな」
「殿下はスーに会ったのですか?」
アルフォークは訝し気にエクリードを見た。
「ああ。以前、花畑で花の世話をしている時に声を掛けた。俺のことを一介の聖魔術師だと勘違いしていて、勤務をさぼって怒られないかと心配していた」
エクリードは苦笑した。
スーリアとは一度しか話したことが無いが、とても楽しそうに花の世話をしていた。少なくとも、王宮に閉じ込めて宝石やドレスを与えておけば満足しているタイプではなさそうに見えた。
その時、視線を遠くに向けていたルーエンが何かに気づいたように首を伸ばした。
「あ、噂をすれば、リアちゃんが来たよ」
ルーエンは遠くを見ながら言った。遮像壁は外から内側を見ることは出来ないが、内側からは外の様子は確認できる。
アルフォークも薬草園の方を見ると、ルーエンの言う通りスーリアはミリーと共にバケツに水を汲んで運んできているところだった。小さな体でバケツを運んでいるので重みでよろよろとしている。