転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
二十分位歩いただろうか。マニエルが薬草園に辿り着いた時、にっくき宿敵は花畑で花の世話をしているところだった。
マニエルは忍び足でそっと近づいた。ピンク色の髪を可愛らしく結いあげた少女はマニエルより少しだけ幼く見えた。白い肌に頬はピンク色、目元はくりっとした優しい印象で、悔しいことになかなか可愛い。
しかし、マニエルも社交界では美女として名を馳せているのだ。こんな所で負けるわけにはいかないのである。こんな虫も殺さぬような穏やかな見た目をしながら人の婚約者に横恋慕とは、人の風上にも置けないとマニエルは怒りに震えた。
「ニャー」
ちょっと! と声をかけたつもりが、またもや自分が猫であることを失念していた。宿敵はマニエルを見るや否やパッと表情を綻ばせた。にこにこしながらこちらに近づいてくる。
「こんにちは、猫ちゃん。まあ、綺麗ね。ここの猫なのかしら?」
『綺麗』と聞いて、マニエルは少しだけ気をよくした。なにせ、マニエルは世間一般で美人だと言われている。目の前の宿敵と違い、化粧だってしっかりとしている。ちょっとばかし可愛いだけの美少女には負けないのだ。わかったらさっさと横恋慕をやめて引っ込んでろと言ってやった。