転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

「猫? ん?? この子……」

 ルーエンはマニエルを抱き上げるとじっと見つめてきた。こんなにも見つめられたことはこれまでに無い。マニエルはなんだが気恥ずかしくなって顔を隠した。

「あら? 顔を洗ってるわ。この子、すごく綺麗な猫ですよね」
「んー、綺麗だし可愛いね」

 ルーエンはにんまりと笑うとマニエルを抱き直し、頭を撫でてきた。

「ルーエンさんには懐いてますね。私はさっき、威嚇されました」
「威嚇? 可愛いその子がそんなことを?」

 ルーエンの怪訝な声にマニエルはビクリと尻尾を揺らした。敵はなかなかやる。なんと余計な事を言うのか。先ほどのは威嚇ではなく、目力の鍛錬(たんれん)である。勘違いも甚だしいと言ってやった。

「ニャー」
「ルーエンさん、今日は何を?」
「うん。今日もマニィに花束を作って貰ってもいい?」
「もちろんです。ルーエンさんは本当に婚約者さん想いですね」
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