転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
侍女は驚きのあまり両手で口をふさいだ。猫の姿で恋のライバルを牽制に行ったはずが、いつの間にそんなことになったのかと驚きを禁じ得ない。
「ルーエン様が私のこと、『可愛い』って」
ぽっと頬をピンク色に染めたマニエルは、両手の人差し指の先っぽを合わせてもじもじとする。
「やっぱりルーエン様にふさわしいのは私に違いないわ。とっても優しく私に触れて下さったのよ」
「それはそうでございましょう。そんなことになって、結婚しないなどあり得ませんわ」
侍女はマニエルの言葉にうんうんと頷く。夢見心地のマニエルの元に花束を持ったルーエンが訪れたのは、僅かその数時間後のことだった。