転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
──スーはどんな格好していても可愛らしい。
きっとお世辞で言っているのだろうが、それでもとてもうれしかった。
アルフォークの差し出した黄色い花――オンシジウムの花言葉は『一緒に踊りましょう』。差し出された手に自分の手を重ねるともう片方の腕でぐっと腰を抱き寄せられた。ダンスとはこんなにも密着して行うものなのかと頬に熱が集まる。
音楽に合わせて体が揺れ、クルリと回され、また抱き寄せられる。夜の庭園を照らす魔法の光がきらきらと煌めき、宝石のように美しく見えた。
景色が回る。光が煌めく。こちらを見つめるアルフォークが優しく微笑む。
スーリアも自然と口角を上げて微笑んだ。
──このままずっと、時が止まってしまえばいいのに。
シンデレラもガラスの靴を履いて王子様と踊ったとき、こんな風に思ったのだろうか。