転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

「アルは偉いし」
「ただの役職だ。王宮勤めという点では、花畑を管理するスーと同じだな」

「アルは大人だし……」
「二十四歳はスーにとって、おじさん過ぎるかな?」
「──いいえ。そんなこと、一度も思ったことないわ」

 スーリアはアルフォークを見つめた。目の前にいるのは美しく、優しく、多くの女性が憧れる魔法騎士団長だ。

「アルはとても素敵だから、私では釣り合わないわ」
「それは、褒めてくれているのかな? 俺はスーがいいと思っている」

 アルフォークは少し困った顔をして、スーリアを見下ろした。

「スー。俺は実は、女性が苦手だったんだ。けれど、スーといると落ち着くし、楽しいんだ」
 
 二人の間に沈黙が流れた。アルフォークが手に持ったままのチューリップが風に揺れた。
< 236 / 386 >

この作品をシェア

pagetop