転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
プリリア王女はアルフォークの話を聞き、スッと目を細めた。パシンという音が響き、鋭い痛みが走る。アルフォークの白い頬からつーっと血が滲んだ。プリリア王女に扇で引っぱたかれたのだ。
「私に政略結婚の駒になれと言っているの?」
「そのようなことは、滅相もございません」
「では、口を慎みなさい。不愉快だわ」
プリリア王女はパシンと勢いよく扇を閉じる。立ち尽くすアルフォークに近付くと顎に指をかけ、悩ましげに眉根を寄せた。
「まあ、アル。綺麗な顔に傷が残ったら大変だわ。聖魔術師に言って、早く治して貰いなさい」
「……はい。畏まりました」
妖艶に微笑んで颯爽と去ってゆくプリリア王女の姿をアルフォークは呆然と見送った。自分には恋人がいると伝えたかったが、あの様子ではとても無理だ。
プリリア王女は既に決まっていた舞踏会の相手役ですら無理やり押し退ける強引さがある。スーリアのことを知られれば、スーリアに危害が及ぶ可能性があるとすら思った。
「くそっ」
とんでもない女に目を付けられたものだ。褒章を与えられて高揚していた気分は、すっかりと冷め切ってしまった。アルフォークが頬を手で拭うと、指にはべっとりと赤い血がついていた。
「私に政略結婚の駒になれと言っているの?」
「そのようなことは、滅相もございません」
「では、口を慎みなさい。不愉快だわ」
プリリア王女はパシンと勢いよく扇を閉じる。立ち尽くすアルフォークに近付くと顎に指をかけ、悩ましげに眉根を寄せた。
「まあ、アル。綺麗な顔に傷が残ったら大変だわ。聖魔術師に言って、早く治して貰いなさい」
「……はい。畏まりました」
妖艶に微笑んで颯爽と去ってゆくプリリア王女の姿をアルフォークは呆然と見送った。自分には恋人がいると伝えたかったが、あの様子ではとても無理だ。
プリリア王女は既に決まっていた舞踏会の相手役ですら無理やり押し退ける強引さがある。スーリアのことを知られれば、スーリアに危害が及ぶ可能性があるとすら思った。
「くそっ」
とんでもない女に目を付けられたものだ。褒章を与えられて高揚していた気分は、すっかりと冷め切ってしまった。アルフォークが頬を手で拭うと、指にはべっとりと赤い血がついていた。