転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
 ***


「スー」

 優しい声色に振り返れば、アルフォークがこちらを見つめて立っていた。スーリアは花の手入れをやめ、アルフォークに駆け寄った。

「アル! どうしたの?」

 一応、『どうしたの?』とは聞くけれど、理由なんてなんだっていい。アルフォークが訪ねて来てくれるだけで、スーリアはいつだって心が躍る。

「ルーエンに用事があったんだ。それに、スーの顔が見たかった」
「私の顔?」

 アルフォークに優しく見つめられ、スーリアは頬を染めた。アルフォークはほんのりとバラ色に色づくスーリアを見て、口元を綻ばせた。

「今日はまだかかるのか?」
「ううん。もうそろそろ、帰るつもり」
「では、送っていこう」

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