転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

 万人が見れば万人がプリリア王女を絶世の美人だと讃える。
 それもそのはず。プリリア王女は絶世の美女として名を馳せ、市井から王室に召し上げられた母親と瓜二つだった。
 誰もが自分に愛を請う。一国の王子ですら、自分を一目みればダンスに誘わずにはいられない。それなのに、あの男は決して(なび)かない。アルフォークがプリリア王女とダンスを踊るのは、義務として課せられた最初の一回だけだ。プリリア王女はそれが許せなかった。

 若い女性達の憧れの的である魔法騎士団長。自分に対する素っ気ない態度は気に入らないが、見た目は文句ないほどに完璧。美しい自分の隣に置くにはもってこいの、最高のアクセサリーだ。
 
──もしかして、想いを寄せる女性でもいるのかしら?

 そうだとすれば、看過することは出来ない。なぜなら、自分が望んで手に入らないものなど、この世に存在してはならないからだ。邪魔者は例外なく排除しなければならない。

「こちらへ」

 プリリア王女は後ろに控える近衛騎士を呼んだ。近衛騎士がプリリア王女の傍に寄る。

「アルの親しくしている女性がいないか、調べてちょうだい」
「畏まりました」
「頼りにしているわ。どんな些細なことも報告して」
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