転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
エクリードの指摘にプリリアは顔を顰めた。
「でも、侍女は間違いなく職務怠慢です。アルにお茶を出すときに色目を使っていたとか」
「それも俺は居合わせたが、色目とはどんな目だ? 普通にお茶を出されただけだったが」
エクリードに首をかしげられ、プリリアはギリッと奥歯を噛み締めた。
先日のキャロルの件があり、プリリアはアルフォークに女の影がないか、近衛騎士に調査させた。その結果、何人か親しくしている女が浮上した。
魔法騎士団のキャロル以外に、薬草園のミリー、花畑のスーリア、魔術研究所の侍女数名……。プリリアはそれらの人物を全てクビにしてアルフォークから遠ざけようと企んだが、正式な書類を作る段階でエクリードにはね除けられたのだ。これらの人物は皆、エクリードの名の下で採用されていたので、罷免権もエクリードが持っている。
「とにかく、こんな理由ではお前の要求は受け入れられない」
冷たい声で言い放たれて、プリリアはキッとエクリードを睨みつけた。エクリードは正面からそれを見返した。