転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「これが御守り用の切り花で、こっちが植え替え用の鉢植えです」
「承知しました。ありがとうございます」
スーリアが花畑の一画を指さすと、キャロルは鉢植えを次々に荷馬車へと載せてゆく。スーリアはその後ろ姿を静かに眺めた。
「キャロルさん。団長閣下はお元気ですか?」
荷物が載せ終わったタイミングで、スーリアはキャロルに尋ねた。キャロルはスーリアを見て、少しだけ首をかしげる。
「団長ですか? うーん、変わらないと言えば変わらないのですが……」
少しだけ歯切れの悪いキャロルの言い方に、スーリアは引っかかった。何かしらアルフォークにあったのかと不安を覚えた。
「もしかして、団長閣下は体調でも崩されているのですか?」
「いえ、そういうわけではありません。そうだ、明日の午後、公開訓練があるのでスーリア様も来ませんか?」
「明日の午後?」
スーリアはキャロルを見返した。公開訓練とは、月に一度だけの、魔法騎士団の訓練が一般公開される日だ。スーリアも一度だけ、メリノと見に行ったことがある。