転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「そうなの? じゃあ、行ってみようかしら」
「是非お越し下さい。きっと、団長も喜ばれますよ」
キャロルに微笑みかけられて、スーリアははにかんだ。
公開訓練では、会話が出来たとしても一言二言だろう。けれど、久しぶりにアルフォークの姿が見られると思うとスーリアはとても嬉しくなった。
「必ず行きます」
「はい。お待ちしております」
挨拶を終えたキャロルは鉢植えと花がぎっしりと詰まった荷馬車を操り、颯爽とまた元来た道を下ってゆく。スーリアはその様子を見えなくなるまで見送ってから、花畑へと戻った。
花畑にはデンドロビウムがちょうど見頃を迎えていた。昔、アルフォークに花言葉を聞かれ、『わがままな美人』だと教えたら楽しそうに笑っていた花だ。デンドロビウムの淡い紫色はアルフォークのアメジストのような瞳に似ている。
スーリアは回りを見渡して、ひまわりの鉢植えも用意した。
太陽のように明るく力強いひまわりは、スーリアの中のアルフォークのイメージに合う。明日はデンドロビウムとひまわりを持っていこうと決めた。