転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

「あら。スーリア、ご機嫌ね」

 自宅へと戻ると、結婚の準備で荷物の整理をしていたメリノがひょっこりと顔を覗かせた。

「うん。明日、公開訓練でしょう? アルを見に行こうと思って。姉さんはどうする?」
「あ、明日だったかしら? うーん、私は結婚式と引っ越しの準備が忙しくて……。今回はやめとくわ」
「わかった。スティフさんに会ったら、よろしく伝えておく」

 スーリアはにっこりと頷くと、足早に二階へと駆け上がった。部屋に入り、バタンとベッドに倒れると、ヴィーンと鈍い振動音がして、空中からハラリと封筒が落ちてきた。

「何かしら?」

 スーリアは床に落ちたそれを拾い上げた。一目で上質だと分かるような艶やかな白い封筒の表を見ると、『スーへ』と書かれていた。差出人には『アルより』となっている。

「まあ! もしかして、これはアルからの手紙ね」

 スーリアは目を輝かせて、中を開いた。
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