転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

 訓練が終わると、毎回多くの女性達が意中の魔法騎士にプレゼントを渡そうと殺到する。前回、その人垣に圧倒されてスーリアはアルフォークと話すことが出来なかった。しかし、今日は絶対にアルフォークと話したかったので、スーリアはその人垣が掃けるまで気長に待つ事にした。

 スーリアの位置からはアルフォークの横顔が少し見えるだけだ。女性に取り囲まれて、少し困ったような顔をして言葉を交わすアルフォークは、スーリアの目には少し窶れたように見えた。

──アル、疲れているのかしら?

 スーリアはアルフォークの様子を見て心配になった。最近、忙しいのだろうか。体調を崩さないかと心配でならない。そのまま静かに様子を眺めてた。

 と、その時、周囲にざわめきがおき、一人の豪華な衣装を纏った若い女性がアルフォークに近付いた。それまで取り囲んでいた女性達が、その若い女性を見た途端に頭を垂れてぱっくりと道を開く。

 スーリアはその女性に視線を移した。輝く金色の髪を高く結い上げ、豪華なドレスを身に纏っている。ぱっちりとした瞳は魅惑的で、女性でもため息が出るような美しさだ。

「まあ、プリリア王女だわ」
「プリリア王女?」
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