転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

 隣に座る女性の呟きに、スーリアは思わず聞き返した。
 よく見ると、確かに、あの舞踏会の日にアルフォークがエスコートしていた女性のように見えた。プリリア王女に気付いたアルフォークは腰を折り、その手を取ってキスをしている。

「ねえ、知ってる? アルフォーク様は最近爵位を賜ったのだけど、それはとある理由があると言われているのよ」

 隣の女性は噂好きのようで、スーリアに話しかけてきた。こげ茶色の髪をきつく縛ってお団子にした女性は、メモ帳とペンを手に握っている。

「理由って? 団長閣下の活躍が素晴らしいからではないの?」

 スーリアはその女性を見つめ、首を傾げる。

「それが実は違うのよ。活躍が素晴らしいだけで伯爵位を突然賜るなんて、異例だわ。だから、プリリア王女が降嫁するための下準備だって言われているの。アルフォーク様はとても優秀な方だし、あのお二人は美男美女で絵になるものね」
「降嫁?」
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