転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
スーリアは眉をひそめた。降嫁とはつまり、アルフォークとプリリア王女が結婚するということだ。
スーリアはアルフォークとプリリア王女を見た。二人は何か会話をしており、ここからでは何も聞こえない。プリリア王女はアルフォークに見事な花束を渡していた。本当に絵になる二人だ。
スーリアは慌てて首を振る。アルフォークは褒賞を賜ったときに、おかしな噂が立つかもしれないが、それは出鱈目だと言った。おかしな噂とは、きっとこのことに違いないとスーリアは思った。
なぜなら、最後に会った時、アルフォークはスーリアが好きだと言って抱きしめてくれたのだから。それに、昨日は手紙もくれた。
「それはきっと出鱈目だわ」
首を振るスーリアを見て、隣の女性は目を丸くした。
「まあ! あなた、気が合うわ。私も出鱈目だと思うのよ。だって、私見たのよ。夕闇に染まる空の下でアルフォーク様が逢瀬を重ねる姿を──それはそれは情熱的で。ちょうど、相手の子はあなたによく似た髪色だったわ」
隣の女性が饒舌に何かを語りだしたが、スーリアは殆ど聞いていなかった。アルフォークが自分を裏切るようなこと、あるわけがない。