転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
 自分の花に不思議な力があるから、アルフォークは任務として自分と親しくしていた。プリリア王女はそういったのだ。

 足元から何かが崩れ落ちるのを感じた。
 持っていた袋が手から落ちて中の鉢植えの鉢が割れ、あたりに大きな音が響く。その音のせいでこちらに顔を向けたアルフォークがスーリアに気付き、驚愕の表情見せた。

「スー、何でここに……」

 アルフォークの表情が、驚きと苦悶に歪む。

 真っ直ぐにこちらを向いたプリリア王女は、驚くような美貌の持ち主だった。殆どお化粧をしないスーリアとは違って華やかさがあり、身に付けているものも豪華で自分とは比べ物にならない。

 思い返せば、アルフォークはスーリアを『リア』と呼びたくないと言った。でも、プリリア王女のことは『リア様』と呼んだ。もしかして、アルフォークは自分にプリリア王女と同じ呼び名を使いたくなかったからではないのか。当然だ。任務でしかたなく相手にする小娘を、大事な王女様と同じ呼び名などで呼びたくはないだろう。
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