転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
31.すれ違い2
アルフォークは目の前にその人物──プリリア王女が現れたとき、最後の聖域を犯されたような、言いようのない苛立ちを覚えた。
プリリア王女はこれまでも前触れなく魔法騎士団の訓練中に現れることはあったが、公開訓練では初めてだった。
先日の舞踏会以降、一部の貴族の間ではプリリア王女がアルフォークに降嫁すると誠しやかに囁かれている。今プリリア王女がアルフォークに公の場で会いに来れば、噂に信憑性をもたせることになる。
「アル、ご苦労さま」
和やかに微笑むプリリア王女は、女神の如く美しい。しかし、アルフォークにとって、そんなことは何の意味もなかった。何かを喋っているが、さっさと帰ってくれとしか思えない。
「そう言えば、お父様の側近から聞いたわ。例の不思議な花を育てる少女は、しっかりと繋ぎとめるようにと命じられていたそうね。お兄様がするべきなのに、アルにその役を押し付けるなんて。親しくしていたのはそのためなのでしょう?」
プリリア王女がスーリアのことに触れたとき、アルフォークは強い不快感を覚えた。確かに、エクリード第二王子は国王陛下にスーリアを繋ぎ止めろと命じられたと言っていた。しかし、アルフォークは自分の意思でスーリアと親しくなったのだ。
「リア様、それは──」
訂正しようとしたところで陶器が割れる大きな音がして、振り返るとスーリアがいた。呆然とした様子でこちらを見つめている。
プリリア王女はこれまでも前触れなく魔法騎士団の訓練中に現れることはあったが、公開訓練では初めてだった。
先日の舞踏会以降、一部の貴族の間ではプリリア王女がアルフォークに降嫁すると誠しやかに囁かれている。今プリリア王女がアルフォークに公の場で会いに来れば、噂に信憑性をもたせることになる。
「アル、ご苦労さま」
和やかに微笑むプリリア王女は、女神の如く美しい。しかし、アルフォークにとって、そんなことは何の意味もなかった。何かを喋っているが、さっさと帰ってくれとしか思えない。
「そう言えば、お父様の側近から聞いたわ。例の不思議な花を育てる少女は、しっかりと繋ぎとめるようにと命じられていたそうね。お兄様がするべきなのに、アルにその役を押し付けるなんて。親しくしていたのはそのためなのでしょう?」
プリリア王女がスーリアのことに触れたとき、アルフォークは強い不快感を覚えた。確かに、エクリード第二王子は国王陛下にスーリアを繋ぎ止めろと命じられたと言っていた。しかし、アルフォークは自分の意思でスーリアと親しくなったのだ。
「リア様、それは──」
訂正しようとしたところで陶器が割れる大きな音がして、振り返るとスーリアがいた。呆然とした様子でこちらを見つめている。