転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「スー、何でここに……」
アルフォークは咄嗟に顔を歪ませた。今の会話をスーリアは聞いただろうか。目の前のスーリアの瞳に、みるみるうちに涙がたまってゆく。
「スー、待ってくれ!」
踵を返して走り去るスーリアに、アルフォークは叫んだ。スーリアは振り返らない。
「くそっ」
きっと、今の会話を聞いて誤解している。そう悟ったアルフォークはすぐにスーリアを追い掛けた。周囲の人々が突然のことに驚いた顔をしていたが、構わない。
「スー、待って!」
アルフォークが訓練場の外でスーリアを掴まえたとき、スーリアの顔は涙で濡れていた。
「スー、誤解なんだ。俺は……」
両肩を掴み、逃げようとするスーリアにこちらを向かせた。スーリアが涙の浮かぶ目でキッとアルフォークを睨みつける。