転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「誤解? そうだね。私、アルの事を恋人だって誤解してた。アルは仕事で私のこと、繋ぎ止めないといけないんでしょ? 私、特別な花を作るんだもんね。そりゃあ、繋ぎ止めないとだよね。アルはあの王女様と結婚するの? 私、すっかり勘違いしちゃった。浮かれる私を見るのは、さぞかし滑稽だったでしょう?」
「違う!」
「違う? じゃあ、アルはもう、私が花を育てなくてもいい?」
「それは……」
アルフォークは言葉に詰まった。
スーリアがフッと鼻で笑う。
「それは困るんでしょう? やっぱり、花の力を利用したいから私を騙していたんでしょう?」
誤解を解かなければと思うのに、言葉が出て来なかった。
アルフォークは間違いなくスーリアに惹かれている。好きだと伝えた言葉に偽りはない。だが、最初に近づいたきっかけは花の力に興味を持ったからだった。それに、スーリアを繋ぎ止めろとエクリード殿下を通して国王陛下から命じられたのも事実だ。
「私、バカみたい。好きだったのに……」
涙をボロボロと溢すスーリアが走り去るのを、アルフォークは呆然と見送ることしか出来なかった。