転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

「キャロルが先ほど、謝罪に来ていたぞ。スーリアを公開訓練に誘ったそうだ。善かれと思っての事だろう」

 エクリードの言葉にも、アルフォークは項垂れたまま顔を上げようとしない。エクリードはアルフォークを見て、眉を寄せた。

「アル。なんだそのざまは?」

 答えようとしないアルフォークを、エクリードは冷ややかに見据えた。声の調子が一段低いものへと変わる。

「俺はスーリアを繋ぎ止めろと言った。俺はお前がその役目を放棄すると考えてよいのか?」
「違う!」

 アルフォークが顔を上げ、二人は睨み合うような形になった。

「では、もっとしっかりしろ。たかだか女のことで、情けない。魔法騎士団長の名の恥だ」
「っ!! ちゃんと任務はこなす!」

 カッとしたアルフォークはガタンと椅子をならし、立ち上がった。エクリードとルーエンを一睨みすると、ふいっと背を向けて立ち去ってしまった。
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