転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「姉さん、凄く辛いわ。心が引き裂かれるようよ」
泣きながら、くぐもった声で訴えるスーリアの頭にメリノはそっと手を置く。
「スティフから、少しだけ話を聞いたわ。何か……喧嘩をしていたようだと。ねぇ、スーリア。団長さんとはちゃんと話したの?」
「話す必要なんてないわ」
「スーリア?」
メリノの戸惑うような声が聞こえた。部屋に沈黙が広がる。
「ねえ、スーリア。もう一度、団長さんと話してみたらどうかしら? 全く違う環境で生きてきた二人だもの。たくさん話さないと、人ってなかなか分かり合えないものよ?」
「話しても分かり合えないと思う」
「……そうかもしれない。でも、話さないで別れて、この先スーリアは後悔しない?」
スーリアはベッドに俯していた顔を少しだけ上げた。メリノは潤んだ瞳でじっとスーリアを見つめている。
「ねえ、スーリア。私とスティフも、沢山喧嘩したことがあるし、すれ違ったこともある」
「姉さんとスティフさんが?」