転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

 プリリア王女は眉間に深い皺を寄せてそれだけ言うと、くるりと踵を返した。マニエルは険しい表情を浮かべたままプリリア王女を見送るルーエンに擦り寄った。ルーエンは足に擦り寄るマニエルに気付くと表情を綻ばせた。

「エル。来てたんだね」

 少ししゃがんで手を伸ばすルーエンを見上げ、マニエルは「ニャー」と一鳴きしてその胸に飛び込んだ。ルーエンは今日もマニエルを抱き上げ、優しく撫でる。

「王女殿下のご機嫌が斜めだね。困ったお方だ」

 ルーエンは珍しく、マニエルを撫でながらも終始浮かない顔をしていた。

──ルーエン様、どうしたのかしら?

 マニエルは愛しい婚約者の事がとても心配になった。なにか心配事があるようだ。
 帰り際、マニエルが庭園を通りかかると、聞き覚えのある声がした。
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