転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

「きっと場所なのだわ。この薬草園のそばの花畑が特別な場所なのよ。それに、花の種類が影響している可能性もあるわ。同じ花を用意したのだから、今度こそ間違いないはずよ」

 声の主であるプリリア王女が庭師に向かって何か指示している。いつもなら気にも留めずに素通りするシーンだが、先ほど愛しいルーエンがプリリア王女に叱責されているのを見たマニエルは、なんとなく気になった。そっと隠れるように近づいて、その様子を伺った。

「ここの花畑の花を全て引き抜いて、その後に、同じ品種の別のものを植えるの。きっと同じように不思議な力が生まれるはずよ」

 プリリア王女は、以前マニエルがルーエンに横恋慕していると勘違いした、あの少女の花畑を引き抜けと指示しているようだ。
 マニエルは花畑をぐるりと眺めた。最近あの少女は見かけないが、花畑の花はまだ綺麗に咲いていた。引き抜く必要性がわからない。
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