転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

 エクリードに空間の歪みまでの距離を訪ねたアルフォークはそれを聞き頷くと、愛馬のレックスの脇腹を軽く蹴った。勢いをつけてさっさと到着し、今日の浄化作業を終わりにしようと考えたのだ。ところが、前方から斥候の役目を負う部下達が戻ってきたのを見て、アルフォークは眉をひそめて馬を止めた。
 斥候の魔法騎士は四人組だ。小物であれば四人で始末してくることが多いのに、戻ってきたということは自分たちの手に負えないと判断した相手がいたということだ。

「大物の魔獣がいたのか?」

 アルフォークは固い声で尋ねる。地面を叩きつける雨の音で、大きな声で尋ねないと掻き消えてしまいそうだった。

水龍(ウォータードラゴン)がいます」
水龍(ウォータードラゴン)か……」

 その場にいた魔法騎士団の隊員たちに緊張が走った。水龍(ウォータードラゴン)は最上級の魔獣で、水を操る攻撃を行う。頭がよく、しかも今日は雨でどこもかしこも水浸しだ。非常に分が悪いと言わざるを得ない。

「いけるか、アル」
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