転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「彼らに死人が出なかったのは、リアちゃんのおかげだ。絶対に…絶対に君のせいじゃないから。でも、あいつに一度会ってやってくれないかな? 殿下からもリアちゃんをお連れするように言われてる。僕からの、一生のお願いだ」
返事出来ないまま体を強ばらせたスーリアの背中にルーエンの手が回り、肩を抱かれるような格好になった。黒いケープに身を包まれる。まわりの空間がぐにゃりとゆがみ、視界が回るような感覚と、胃が迫り上がるような不快感。スーリアは咄嗟に黒いケープを掴みぎゅっと両目を瞑った。
***
アルフォークはその光景を見たとき、我が目を疑った。それほどまでに、それは衝撃的な光景だったのだ。
時刻は溯ること一時間前、魔法騎士と聖魔術師の面々は今日のお互いの健闘を讃え合い、やっとのことで王宮に戻ってきた。
嵐の中、空間の歪みが発生していると聞いて聖魔術師達と浄化に行くこと今日だけでも三カ所。最後は大物の水龍まで現れて、流石に働き詰めの魔法騎士達も苦戦した。しかし、花の加護のお陰もあり、全員が無傷や軽症で済んでいた。