転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

 アルフォークはスーリアの花をキャロルが取りに行くのは明日にすべきだと判断すると、冷えた体を温めて疲れを取るため、気怠い体を持ち上げて湯浴みに向かった。熱い湯を浴びて着替え、ようやくさっぱりして執務室に戻り、ホッと一息ついたところで、またもや緊急事態を報せる鐘か鳴り、魔術師がやってきた。

「アルフォーク魔法騎士団長閣下! 空間の歪みが発生し、魔獣が現れました。至急ご対応を。魔術研究所の外れです」
「またか? 魔獣が? 王宮内に?」
「はい」

 にわかには信じがたい情報だった。しかし、知らせに来た魔術研究所の若い魔術師は頬に擦り傷をつくっており、その瞳は真剣そのもの。とても冗談を言っているようには見えない。

「今どういう状況だ?」
「筆頭魔術師達が拘束魔法をかけていますが、人、建物ともに多数の被害が出ております」
「すぐに向かう。エクリード殿下には?」
「他の者が知らせに行きました」

 アルフォーク小さく頷くと、魔法騎士団の緊急出動を報せる警報を鳴らし、乾いたばかりの鎧を再び身に付けて執務室を出た。
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