転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「枯れてるんだ」
ルーエンはエクリードの言葉を聞き、「あぁ」と頷いた。
「それは一昨日、魔獣が現れたからでしょう。闇属性の魔術を受け灰になったのでは?」
「それが、どうもそういうようには見えないんだ。そもそも、スーリアの花畑があるあの辺りに空間の歪みが発生した事自体が奇妙だ。花により周囲が常に浄化された状態だったのだからな」
エリクの指摘はまさにスーリアも感じていたことだった。なぜ、自分の花があるはずの王宮で空間の歪みが発生したのか。スーリアの自宅の庭の花はいつもと変わりなかったのだ。
「……ところで、アルはどうした? 話をしたのではないのか?」
「それが、色々と揉めてまして……」
ルーエンがちょっと困ったように肩を竦める。
それを聞いてスーリアがまたルーエンを睨み付けた。ルーエンは観念したようにはぁっとため息をついて、スーリアを見た。
「アルはね、大怪我をした」
「医務棟の個室に居るくらいだから、そうなのでしょうね」
スーリアは頷いた。ここに来るとき、ルーエンはここには重症や障害が残った人が居ると言っていた。しかし、アルフォークの見た目は元気そうに見えた。