転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
カキィーンと音がしてまた一人、床に倒れて這いつくばった。アルフォークが打ち負かしたのだ。
「ほぅ。まさに闘神だな。見事だ」
じっと様子を眺めていた国王陛下が感嘆の声を洩らした。
「本当に。アルの代わりを務められるものは、ルーデリア王国中探してもいないでしょう」
エクリードも頷いた。アルフォークは元々突出して優秀な魔法騎士ではあったが、ここまでとは予想外だ。
左手と魔術だけでここまで戦えるとは、驚きを通り越して畏敬の念を抱かせるほどだ。しかし、これでは困る。アルフォークには右手を使って貰わねばならない。
そこで、エクリードはもう一芝居打つことにした。
無言で階段を降りると、腰に下がる自身の剣を握る。その剣を目標のピンク色の後ろ姿に向かって振りかざした瞬間、生涯で一度も受けたことの無いような激痛が腹部を襲った。
「ぐはっ!」
身体がはじけ飛ばされ、謁見室の壁に叩きつけられる。床にずり落ちて、起き上がろうと顔を上げたところで鼻先に剣先がヒタリと当てられた。