転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「これは……一体どういうことです?」
「悪い。アルに秘密で一芝居打った」
「一芝居?」
「ああ、見事な右拳の鉄拳だったぞ。おかげで俺は危うく天国に足を踏み入れかけた」
エクリードが再び脇腹を擦ったのを見て、アルフォークはハッとした。アルフォークはエクリード殿下の脇腹を力一杯殴った。殴った手は……
「……なぜだ?」
アルフォークは呆然と自らの右手を見た。作り物のように決して動かなかったはずのその手は、アルフォークの意思に合わせ、手の平を上に向けてゆっくりと開いた。
「スーリアのもう一つの力だそうだ。野菜は治癒能力があるようだ」とエクリードは言った。
「治癒能力? しかし、以前、ルーは野菜には何も力は無いと……」
「あれは闇属性魔法に対する防御力を上げる力は無いと言ったんだよ。治癒能力はノーチェックだった」
ルーエンは不本意そうに両肩を竦めて見せた。