転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

 スーリアの横で商品を眺めていた親子がプリリア王女と隣国の王太子殿下の姿絵を購入した。スーリアはその様子をぼんやりと眺めた。

「プリリア王女殿下は幸せになれるかしら?」

 小さく呟いた言葉に、アルフォークも飾られた姿絵に視線を移した。

「隣国の王太子殿下は非常に公明正大な人物で臣下の信頼も厚いと聞いている。プリリア王女殿下次第じゃないだろうか」
「プリリア王女殿下次第?」
「ああ。国によって婚姻制度は違う。ルーデリアは一夫一妻だが……」

 言葉を濁したアルフォークを見て、スーリアは理解した。
 きっとかの国では、隣国の元・王女も王太子殿下の数いる妻の一人でしかないのだ。ただ、美貌も母国の後ろ盾もあるプリリア王女殿下はその中でもかなり恵まれた存在のはずだ。公明正大な次期国王。そこで寵を得て正妃になれるかどうかは、まさにプリリア王女殿下の今後の身の振り方次第なのだろう。

 アルフォークは店員に小銭を渡すと、スーリアに購入した姿絵を手渡した。スーリアはそれを受け取って、小さく微笑んだ。
< 379 / 386 >

この作品をシェア

pagetop