転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「ありがとう、アル」
「どういたしまして。たまには宝石でも強請ってくれればいいのに」
「この前、素敵なガラス細工を貰ったわ」
スーリアはそのプレゼントを思い出し、頬を緩めた。
先日、アルフォークはそれはそれは素敵なガラス細工をスーリアにプレゼントしてくれた。アルフォークの実家の領地の特産品であるガラス細工は、赤いチューリップの形をした繊細なものだ。赤いチューリップはスーリアとアルフォークにとって、特別な花。スーリアがどんなに喜んだかは、筆舌に尽くしがたい。
「あんなものでよければ、いくらでも贈ろう」
「本当? ありがとう」
「どういたしまして。スー。この後、どこに行きたい?」
「アルとなら、どこへ行っても楽しいわ」
スーリアの言葉を聞いたアルフォークは僅かに目を見開き、それから、微笑んだ。
「後でいいんだが、俺はスーの家に行きたい。ベン殿にご挨拶しないと」
ああっ、とスーリアは小さく頷いた。