転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

38.エピローグ

 真っ白な世界で下界を眺めていたシュウユは顔をあげた。横にいる少女──スーリアは、ちょこんと座ってシュウユの様子を見守っている。

「希望に変わりはない? 恵ちゃんはもう少し時間がかかりそうだけど、お姉さんの方が今ちょうど良いタイミングだわ」
「変わりないわ。急がないと、彼と歳が離れ過ぎちゃう」
「ふふっ、そうね。──恵ちゃんによろしくね」
「任せといて」

 スーリアは口の端を持ち上げて、にっこりと笑った。それを見たシュウユは頷いて、その手を少女にかざした。
 シュウユの手に光が集まり、少女を包みこむ。次の瞬間、少女の姿は光る球体へと変わり、その球体もいつの間にか姿を消していた。

 シュウユはもう一度下界を覗き込んだ。光る球体は一人の女性の体の中に吸い込まれるように消えていった。

「よし、成功だわ」

 そのまま下界を覗き込んでいたシュウユは、仲むつまじい様子の男女を見つけ、優しい微笑みを浮かべた。

「幸せになるのよ、私の可愛い愛し子達」

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