転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「あの子は元気になったのか? よかったな」
「はい。家の手伝いや、花を育てて過ごしているようです。この花もスーリアが育てたみたいですよ。彼女の家族も団長を始めとする魔法騎士団と聖魔術師達には感謝してもしきれないと言っておりました」
スティフはそう言うと柔らかく微笑んだ。
アルフォークがありがたく花束と礼状を受け取り、その花束に目をやれば、色とりどり花がリボンで纏められている。女性に花を贈った経験はあっても、女性から花を贈られるのは初めてだ。礼状には丁寧に感謝の気持ちが書き綴られていた。
当然だが、魔獣の討伐には危険が伴い、常に死と隣り合わせと言っても過言では無い。こういった感謝の言葉は少なからず仕事の励みになる。
アルフォークはその花を執務室の空の花瓶にそのまま挿すと、手紙は机の中にしまった。忙しく任務に追われ、翌日にはその存在など忘れていた。