転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

「何かあったのかな?」
「この鐘の音は空間の歪みが発生したことをしらせる鐘よ。聖魔術師と魔法騎士団が歪みを正しに向かうんだわ。また森かしら……」

 きょとんとするスーリアに対し、姉のメリノは心配そうな表情を浮かべて固い口調まま呟いた。

 魔法騎士団と言えば、瀕死のスーリアを見つけ出してくれたあのエリート集団だ。日ごろから厳しい訓練を積んでいる彼らは万が一にも魔獣が現れてもやすやすと負けたりはしないだろう。しかし、その中に最愛の婚約者がいるメリノにとっては気が気でないようだ。メリノは心配そうに大通りの方を見つめていた。

 スーリアは眺めていた花の種の中に見覚えのあるもの見つけて目をとめた。ナスタチウムだ。『困難に打ち勝つ』『勝利』『愛国心』という花言葉を思い出し、彼らの無事を祈ってそれを買い物かごに入れた。


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