転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
スティフは不思議そうに首をかしげた。
「いや、貰った花が珍しかったものでな。育てているところを見てみたいと思ったんだ」
「花が珍しかった? 団長が花好きとは知りませんでした」
スティフは意外そうにアルフォークの顔をしげしげと眺めてきた。アルフォークは居心地が悪くて眉を寄せる。アルフォークは別に花好きではない。スティフの言葉は見当違いも甚だしいが、説明するのがいろいろと難しいのでアルフォークは訂正しなかった。
翌日スティフに案内されて訪れた彼の婚約者の自宅は、王都の郊外に広がるのどかな田園地帯にひっそりと佇んていた。農業を生業としているようで家は典型的な農家のものだ。木造の簡素な造りの住戸の脇には大きな納戸があり、開いた扉からは農業用の道具が顔をのぞかせていた。
スティフに連れられてその納戸の裏手の回ると、見事な花畑が見えた。
「こんにちは、スーリア」