転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

「あの、閣下は私の花を気に入って頂けたって本当ですか? あのガーベラは私が最初に育てたものなのです。気に入っていただけて良かったわ」

 スーリアは自分の花を気に入って貰えたのがよっぽど嬉しかったのか、満面に笑みを浮かべている。その様子を見て、スティフは片手を上げた。

「じゃあ、俺はメリノのところに寄るから。ごゆっくり」
「はい。スティフさん、ありがとうございます」

 スティフが婚約者の元へ向かうと、アルフォークは花畑でスーリアと二人きりになった。

「閣下はどんな花が好きですか?」
「……どんな花でも」

 アルフォークは返答に困った。そもそも特に花が好きなわけでは無いのだから答えようがない。花の名前もバラとユリくらいしか知らない。スーリアは少し首をかしげ、気を取り直したように花畑の中の花を一つ一つ熱心に説明し始めた。

「あれは先日種を撒いたナスタチウムです。ちょうど種を買っている時に聖魔術師と魔法騎士の方達が空間の歪みを正しに向かうところだったので買いました。花言葉が『困難に打ち勝つ』とか『勝利』、『愛国心』なんですよ。黄色やオレンジの可愛いお花が咲きます。食用にもできるんですよ。サラダの彩にいれたりします」
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