転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
少し離れた一角に草が沢山生えているところをスーリアが指さす。
「随分と成長の早い花なのだな」
アルフォークが呟くと、それを聞いたスーリアはアルフォークを見上げて笑った。
「私が育てると何故か早く育つのです。それに、花の期間は長持ちするのよ。魔法みたいでしょ?」
「魔法……」
「それに、季節でない花が咲く事もあるんです」
「それは不思議だな。スーリアは植物に作用する魔法が使えるのか?」
「いいえ、全く。少しは使えたらよかったのに」
スーリアは残念そうに肩を竦めて口を尖らせた。たしかに、アルフォークがそばに寄ってもスーリアから魔力のようなものは感じられなかった。むしろ、魔力は全くと言っていいほど感じない。ここまで魔力がゼロに近い人間も逆に珍しいほどだ。
となると、これらの花の不思議な現象は育てた場所の問題なのかも知れないとアルフォークは考えた。