転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
横で話を聞いていた母親のマリアも話に加わり、手を高く上げて見せてきた。スーリアは入れ替わる前のスーリアの記憶からパン屋の知識を引き出していた。パン屋は町に沢山あるが、スーリアの家でパン屋と言えば昔から行きつけの一軒だけだ。跡取り息子のリジェルはスーリアの一つ年上で、小さなときから何ごとも単独行動を好んだ元のスーリアには数少ない幼馴染みでもある。
「じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかしら?」
「ああ、そうするといい」
ベンとマリアはスーリアを見て微笑んだ。
その晩、スーリアは今日の出来事を思い返した。初めて会う魔法騎士団長のアルフォークはとても素敵な人だった。優しくて大人で花が好きなハンサムな男性。そして、スーリアの育てた切り花の売れ行きも好調で、幼馴染みのリジェルのお店からの嬉しい申し出。
素敵な事が二つもあった。今日はいい夢が見れそうな気がして、スーリアはご機嫌で布団にもぐりこんだ。