転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
「そういえば、困ることと言えば一つあったわ。元の世界の事を無意識に話してしまいそうになるの。今日も、無意識に『花言葉』の話をしてしまったのだけど、よくよく考えるとこっちの世界に花言葉は無いわよね?」
スーリアは今日、無意識にアルフォークに花言葉の事を話した。アルフォークは特に何も追求してこなかったが、不審に思われてもおかしく無い状況だった。スーリアの話を聞いたシュウユはふむと頷いた。
「それなら、前世の記憶もちって事にすればいいんじゃないかしら?」
「前世の記憶もち?」
ルーデリア王国にはさほど多くは無いが、一定の割合で前世の記憶をもつ人が存在する。
「事故のショックで思い出した事にすれば大丈夫よ」
「え? そんなので大丈夫??」
「大丈夫、大丈夫」
シュウユはあっけらかんと笑った。
なんでもかんでも『大丈夫』とか『いいのよ』っていうけど、本当に平気なのだろうか? シュウユのあまりにも平然とした様子に、スーリアはかえって不安になったのだった。