転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~

9.プリリア王女

 スーリアの家を訪ねた翌日、アルフォークは友人で王宮の筆頭魔術師のひとりであるルーエンにこの不思議な花を見て貰おうと思い立った。
 空間の歪みはいつ発生するかわからないので、アルフォークの任務は空き時間の見通しが立ちにくい。すぐに見せに行こうと、まだ午前中のいつもに比べて人通りが少ない宮殿内を一人足早に歩いた。

 魔法騎士団の待機所と魔術師の魔術研究所は共に宮殿内にある。しかし、宮殿はとても広いので、魔術研究所に行くには結構な距離を歩かなければならない。
 宮殿内の渡り廊下に差し掛かったとき、アルフォークは聞き覚えのある話し声が後方から聞こえた気がして更に足を早めた。話し掛けられるとやっかいだ。

「あら、アルじゃない。何処へ行くの?」

 高い猫なで声をかけられて、アルフォークは肩をすくめた。無視するわけにもいかず振り向くと、そこには予想通りの人物、プリリア第三王女とその侍女と護衛の姿があった。

「アルがこんな朝から王宮のなかを歩いているなんて、珍しいわね。丁度いいわ」

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