転生聖女の異世界スローライフ~奇跡の花を育てたら魔法騎士に溺愛されました~
 ルーエンはリボンを解いて花束をバラバラにした。横で眺めていたエクリード殿下もその中から一輪を摘まみ上げた。

「確かに何も感じないな」

 エクリードは花を光にかざしたり、近くで見たりした。
 しかし、何もわからない。

 ルーエンはバラバラにした花の中から薄ピンクの花を一輪選ぶと、魔獣が使うのと同じ闇属性の魔法で攻撃を花にぶつけた。すると、不思議な事に攻撃は当たる前に出来上がった防御壁により弾かれてかき消えた。そして、攻撃が当たってないはずの花は灰になっていた。ルーエンの手からはらはらと灰が落ちる。

「うわぁ。これ、凄いね! 初めて見たよ。アル、どこで手に入れたんだ?」

 ルーエンは興奮した様子で灰になった花と美しく咲く花を見比べていた。王宮の筆頭魔術師であるルーエンが知らないとなると、本当に珍しい花なのだろう。
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